日本語教育実習における教師の意思決定 : 意思決定と授業形態との関係から

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タイトル別名
  • A Study of Decision-making in Teacher Training : The Relationship of Program Structure and Decision-making
  • ニホンゴ キョウイク ジッシュウ ニ オケル キョウシ ノ イシ ケッテイ イシ ケッテイ ト ジュギョウ ケイタイ ト ノ カンケイ カラ

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抄録

日本語教師養成における教育実習をどう指導していくかは極めて重要な問題である。しかし実習指導のための基礎的研究はほとんどされておらず、担当指導教官の経験、主観に頼っているのが現状であるという指摘がある(堀口1992)。 本稿は、実習指導を考える基礎的研究の第一歩として授業中の教師の意思決定に着目し、意思決定と授業形態との関係について考察を行なった。意思決定に着目した理由は、教師の意思決定は認知活動の要であるという点にある。つまり、特定の授業における意思決定を明らかにすることは、実習生が授業中に何を捉え、それをどう解釈し、決定を下していくのかという授業中の認知活動を特徴付けることができると考えたからである。以上を踏まえ、研究目的を授業中の教師の意思決定と授業形態との関係を明らかにすることに設定した。そのためにはまず、教師の意思決定のプロセスを明らかにする必要があると考え、(1)意思決定の対象 (2)意思決定のキュー (3)キューの解釈と決定までのプロセスについて分析し、その上で授業形態と意思決定との関係を探った。大学院の教育実習授業を行なった教師(実習生)を対象に教師の意思決定を再生刺激法により収集した。 また、 2つの異なる教育実習「1. 1999年度実習」(内田・白石2000)「2. 2001・2002年度実習」を取り上げ、比較・分析した。 その結果、意思決定の対象は「活動内容」、キューは「学習者の反応」が量的に多く見られた。更に、キューの解釈から意思決定までのプロセスについて質的分析を行なうと、「代替策の内容」が授業形態と関係していることがわかった。「意思決定の対象」と「キューの解釈から意思決定までのプロセス」の結果は、1999年度実習の調査結果と異なり、授業形態の違いが教師の意思決定に影響を及ぼすことを実証した。 以上の結果から、実習の授業形態によって実習生に異なる経験や学びを促すことを具体的に述べた。

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