幼稚園における遊具としてのコンピュータ利用の試み

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  • ヨウチエン ニ オケル ユウグ ト シテ ノ コンピュータ リヨウ ノ ココロミ

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抄録

本稿では,幼児が遊具のひとつとしてコンピュータを利用する試みについて述べる.近年,各学校でパーソナルコンピュータを教具として用いた授業が積極的に行われているが,本来コンピュータは,勉強道具以外に多方面に可能性が広がる道具である.しかし,現状では,小学校で初めてコンピュータを使用する児童が多く,児童の深層心理にはコンピュータは勉強道具という図式が出来上がるため,その他の可能性を知らずに嫌悪感を抱く危険性がある.そこで,我々は,幼児の学習過程として遊びを重視する幼稚園で,コンピュータを遊具として取り入れることを考えた.良質な遊びの機会を提供することは幼児の学習発達に良好な影響を与えるといわれており,幼児に適した環境を提供することで,コンピュータはこの良質な遊びを行うための遊具となりうる.そこで,幼児の人間関係の育成を阻まないよう大画面ディスプレイを用い,幼児に扱いやすいタッチパネルを付ける環境を用意する.そして,この環境で利用しやすい,あくまで遊具であるということを念頭に置き,記憶・片付け・予測という身近なテーマのゲームを試作した.幼稚園で試用・観察を行った結果,幼児が遊びの中で学ぶ主体性・道徳性・友達のよさを損なうことなく,楽しみながら記憶力を育成したり,健康的な生活のリズムを学んだりすることができる可能性が示唆されるとともに,遊具としてのコンピュータの可能性を見出すことが出来た.

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