近世淡路人形座における作品改訂

書誌事項

タイトル別名
  • キンセイ アワジ ニンギョウザ ニオケル サクヒン カイテイ
  • The Revison of Works by Awaji Puppet Troupes in the EdoPeriod

この論文をさがす

抄録

江戸時代、淡路の人形座は、主に大坂や江戸で初演された作品を自座の演目として取り入れて上演していた。しかし中には取り入れた作品をそのままの形ではなく、改訂増補して上演する例もあった。例えば『東鑑富士の巻狩』や『賤ヶ監嶽七本槍(太功旭花山)』がその代表例として知られるが、これらは大坂初演の二作品を取り合わせて成立した淡路座の改作である。こうした取り合わせによる作品改訂は、淡路独自の外趣を持たない作品をも調査してみると、近世の淡路座においてかなり頻繁に行われていたことかわかる。例えば『嬢景情八嶋日記』の場合、文政七年上村源之丞座興行時には同作と『傾城阿古屋の松』を取り合わせた改訂上演となっているし、明治十四年市村六之丞座興行時には同作と『源平鴨烏越』を取り合わせた上演となっている。また同様の改訂は、淡路座における『軍法富士見西行』や『桜姫戝賤姫桜』の場合にも認められる。このような取り合わせによる作品改訂は、人形を主体とする淡路座の性格に根ざすものと考えられ、その実態を把握することは重要である。また取り合わせのうちに伝承されている作品を明らかにすることは、近世の淡路座と大坂興行界との関わりを探るためにも意味があるのである。

収録刊行物

  • 人文研究

    人文研究 58 262-276, 2007-03

    大阪市立大学大学院文学研究科

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ