「人間の尊厳」と討議

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タイトル別名
  • <i>Human dignity and discourse </i>

抄録

<p>    近年の生命倫理学では、人間の尊厳と対話が重要な役割を果たしている。しかし人間の尊厳は、その曖昧さのためにしばしば批判にさらされてきた。そこで本稿では、対話を重視する討議倫理学の領域において、人間の尊厳がどのように議論されてきたのかを確認し、それを通じて、尊厳概念の再定式化を試みる。マティアス・ケットナーは、人間の尊厳を、社会的な討議を通じて、その内実を確定されるべきものとして理解し、他方で、ウーヴェ・ファールは、人間の尊厳を、より個別的・具体的な事例に関して、参加者の利害関心を明らかにする発見的な道具であると指摘する。これらの立場を踏まえ、本稿では、尊厳をめぐる合意は、社会的なレベルにおけると同時に、個別的なレベルにおいて可能であること、そしてそうした合意の背景には、原理の実質とは異なる形での実質、さらにはそれを捉える感受性が前提とされていることを示す。</p>

収録刊行物

  • 生命倫理

    生命倫理 26 (1), 26-34, 2016

    日本生命倫理学会

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詳細情報

  • CRID
    1390001204486453376
  • NII論文ID
    130006108013
  • DOI
    10.20593/jabedit.26.1_26
  • ISSN
    2189695X
    13434063
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
    • KAKEN
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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