下肢荷重力と下肢筋力および坐位保持能力との関係

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タイトル別名
  • Relationship between Lower Limb Loading Force, Knee Extension Muscle Strength and Ability to Maintain a Sitting Position
  • カシ カジュウリョク ト カシ キンリョク オヨビ ザイ ホジ ノウリョク ト ノ カンケイ

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抄録

【目的】下肢機能を定量的に評価することの必要性は言うまでもない。しかし、一般的に下肢機能を定量的に評価するための機器には高価なものが多いことや、設定方法が複雑であることなど実用的とは言いがたい。我々は先行して体重計を用いた下肢荷重力の測定を行い、その測定値の再現性および妥当性を報告した。しかし、その下肢荷重力が示す測定値の基本的なメカニズムは明らかにされておらず、その測定値が何を表す指標なのかが明確ではない。本研究では、下肢筋力と坐位保持能力を定量的に評価し、下肢荷重力値との関連を明らかにすることによって、下肢荷重力値が示す測定値の意義について検討した。<BR>【対象および方法】対象は健常成人31名(男性12名・女性19名)、平均年齢20.4歳±0.6、平均身長163.5cm±8.8、平均体重57.3kg±8.8であった。対象者には本研究の趣旨と内容について十分説明し同意を得た上で行った。測定方法は治療台に端坐位をとり、足底に体重計を置いた状態で治療台端と膝窩部間を拳一個分空け、その状態で体重計を垂直方向に最大努力下で3秒間押してもらった。測定は左右2回ずつ行い、左右の最大値を合計して下肢荷重力(kg)とした。下肢筋力は、左右の大腿四頭筋についてハンドヘルドダイナモメーター(HHD)を用い、被検者を坐位、膝関節90°屈曲位として等尺性収縮筋力を左右2回ずつ測定し、その最大値を合計して大腿四頭筋筋力(kg)とした。坐位保持能力の測定法は昇降ベッドに端坐位をとり、ベッド端と膝窩部間を拳一個分空け足底が床面に接触しない坐位とし、両上肢は体幹前方で組み、身体を正中位に保持するよう指示した。被検者の上腕部に側方からHHDを当て、坐位を保つことができる限界まで押した。測定は左右2回ずつ行い、左右の最大値を合計して、坐位保持能力(kg)とした。なお、すべての測定値は体重で除し標準化した。抽出された、下肢荷重力と大腿四頭筋筋力および坐位保持能力との関連性をピアソンの相関係数を求めて検討した。<BR>【結果】対象者の下肢荷重力は50.8kg±12(体重比88.8%±16.5)であった。大腿四頭筋筋力は52.3kg±16.8(体重比91.1%±24.3)、坐位保持能力は20.6kg±4.4(体重比35.8%±4.5)であった。下肢荷重力と大腿四頭筋筋力(r=0.46,p<0.01)および、坐位保持能力(r=0.66,p<0.01)の間に正の相関が認められた。<BR>【考察】今回、下肢荷重力と大腿四頭筋筋力および坐位保持能力との間に有意な正の相関が認められた。簡易下肢機能評価としての下肢荷重力には、大腿四頭筋筋力の関与が示唆された。また、下肢機能のみならず坐位保持能力との関連性も示されることから、市販体重計を用いた下肢荷重力測定は、体幹および下肢機能の複合力として捉える事ができ、体幹・下肢の複合的な評価となり得る可能性が示唆された。<BR>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2005 (0), A0764-A0764, 2006

    公益社団法人 日本理学療法士協会

被引用文献 (7)*注記

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参考文献 (11)*注記

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