高分子鎖のセグメント運動は、ガラス転移温度など高分子材料の重要な物性の決定因子での一つである。これまで、セグメント運動は、凝集体内における周囲の分子鎖との協同運動と共に観測され議論されてきた。つまり、凝集状態の影響がセグメント運動の議論に介在し一本鎖のセグメント運動の描像やダイナミクスは不明瞭であった。本課題では、原子間力顕微鏡を用いて、基板上の孤立高分子鎖を直接観察することを試みる。画像処理・数値解析に基づき、一本鎖のセグメント運動の視覚的理解とダイナミクスの解明を行う。界面やバルクにおける分子鎖運動性との相関を詳細に議論し階層的な高分子構造物性の理解を目指す。