比内鶏の発育形質関連QTL解明とその検証(3) : コレシストキニンA受容体遺伝子の一塩基多型が比内鶏の発育形質に及ぼす影響

抄録

我々はこれまで発育が早い秋田県畜産試験場の比内鶏個体と発育が遅い保存会の比内鶏個体を交配し,作出したF2家系集団において,コレシストキニンA受容体遺伝子(CCKAR)のハプロタイプとF2個体の発育形質の間に有意な関連性があることを報告した。本研究では,同F2家系集団においてCCKAR遺伝子の5’非翻訳領域に存在する一塩基多型(SNP,AB604331;g. 420 C > A)と発育形質との関連性について調査した。同SNPを効率的に検出するため,ミスマッチ増幅変異アッセイ法を開発し,F2個体に出現する3つの遺伝子型(A/A,A/C,C/C)を識別した。各SNPアリルが持つ発育形質に対する効果の推定をおこなったところ,Aアリルは,10,14週齢体重,4-10,10-14,0-14週齢増体重において,Cアリルよりも有意に優れていることがわかった。次に,2010年に飼育されていた秋田県畜産試験場と保存会系統のSNPアリル頻度を比較したところ,Aアリルの頻度はそれぞれ0.889と0.124であり,2系統間におけるアリル頻度の違いは,発育形質を目的とした長年の選抜によって生じたものであることが示唆された。これらの結果から,CCKAR遺伝子のg. 420 C > A SNPは,比内鶏の育種改良において発育向上のための有効な遺伝子マーカーになりうると考えられる。

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