知識移転プロセスに及ぼす文化的影響 : 日独多国籍企業を対象として

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  • Knowledge Transfer Processes in Japan and Germany : Some Empirical Evidence

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抄録

本論文はナレッジ・マネジメントの文化的側面に着目し、多国籍企業のユニット間における知識移転に焦点をあてる。今日、多国籍企業のユニット間における知識の効果的移転は、当該企業の競争優位獲得・維持にきわめて重要な活動として認識されている。しかしながら、多国籍企業の知識移転活動は知識の送り手と受け手の間に介在する地理的・文化的な懸隔のために、特有の問題に直面する。たとえば、移転される知識に関して、それへの認識が文化によって異なる可能性は十分に考えられる。効果的な知識移転を達成するためには、それらの懸隔が移転プロセスに及ぼす影響に関して考察が必要となる。知識移転に関わるいかなる活動が文化的影響を受けやすいのであろうか。この問題意識に対して、本論文は日独多国籍企業155社を研究対象として、それらの知識移転プロセスに関する検討を行う。検討項目としては、(1)移転される知識のタイプ、(2)知識移転の手段、そして(3)受け手における知識の実践、という3つの側面に限定した。理論サーベイを踏まえて仮説を設定し、日独多国籍企業155社に関する調査結果を提示する。調査結果から得られた知見としては、文化的な差異は、(1)移転される知識のタイプに対してはほとんど影響を与えていない。(2)知識移転の手段については、いくつかの移転手段において小さな影響が見られた。それに対して、(3)受け手における知識の実践においては、海外子会社から移転される知識に関して、日独多国籍企業間で受け手の認識に大きな影響が認められた。

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