黒毛和種の育成から肥育までの稲発酵粗飼料給与技術の確立(1) : 収穫調製方法の異なる稲発酵粗飼料の給与に関する試験

抄録

稲発酵粗飼料(以下稲WCS)給与によるビタミンA制御型肥育体系を確立するため、4頭の黒毛和種雌育成牛を用いて、育成期における稲WCSの最適給与量を検討するとともに、肥育期において、天日乾燥した予乾処理稲WCSを肥育全期間給与する区(予乾区)、ダイレクトカット処理した無予乾処理稲WCSを肥育中期を除く前期及び後期に給与する区(無予乾区)を設置し、収穫調製方法の異なる稲WCS給与が発育及び枝肉成績に与える影響を検討した。また、稲WCS給与により生産された牛肉の官能評価を実施した。1.育成雌牛に11週間稲WCSを給与したところ、稲WCSの嗜好性は良好で、稲WCS摂取量は最大で6.0kg/日で、期間増体量は、1.1kg/日と極めて良好な発育を示した。2.β-カロテン含量を低減させた稲WCSを全期間給与した試験牛の血漿中ビタミンA濃度は、肥育中期に目標とする値50IU/dl以下であった。3.肥育期間中の発育及び枝肉成績は、肥育中期を除く前期・後期に稲WCSを給与した無予乾区が、予乾処理した稲WCSを全期間給与した予乾区より優れていた。4.本試験より生産された稲WCS給与牛肉と一般慣行飼養により生産された牛肉の官能評価を実施したところ、両区の間で有意な差が認められたのは、「牛肉の好ましいうま味」、「総合的評価」の項目であった。

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