日仏の姉妹都市提携の現状と課題―持続可能な姉妹都市交流に向けて―

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  • Current Status and Issues of Sister City Partnerships Between Japan and France:Toward a Sustainable Sister City Exchange

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抄録

姉妹都市提携は,第二次世界大戦後の平和運動の一環として,国を超えた市民間の交流を推し進めるために誕生したものであるが,時代とともにその意義は次第に変容していった。  本稿では日仏姉妹都市提携に焦点を当て,日本とフランスの地方自治体の現状と課題を明らかにすることによって,持続可能な交流にむけて改善策を検討する。  日仏の姉妹都市は54組あるが,2017年に日本の10都市,2018年にはその10都市の姉妹都市提携先のうちフランスの5都市に対してヒアリング調査を行った。両国の姉妹都市の地方自治制度と交流の変遷を調査した結果,日本の「姉妹都市提携」とフランスのそれに対応する「地方分権型国際協力」の対象領域が必ずしも一致しないことが明らかになった。「地方分権型国際協力」が1992年に提唱され,それに伴いフランスの自治体は日仏市民同士の交流を支援する一方,地域活性化に向けて自治体同士の共同プロジェクトの実施や公共政策に関するノウハウの共有を次第に求めるようになった。その一方で,日本の自治体は文化的・人的交流に主眼を置き,姉妹都市交流を地域の公共政策を見直す機会として考える自治体は少ない。その改善策としては,国際交流担当部局と他部局との横断的連携を図り,また両都市の各界のアクター同士のネットワーク作りを推進することが肝要である。  また,本調査を通して,日仏市民の間には,相手国の文化に対する関心が強いことが確認できた。今後も地方自治体は,このような市民同士の交流意欲を引き続き支援していくことが求められる。しかし,姉妹都市交流を持続可能なものにするためには,これまで以上に姉妹都市交流政策が双方の自治体にとって実利をもたらすものであることが望まれるだろう。

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