メコンデルタにおける塩害下でのリスクマネジメント : 労働移動と複合経営に着目して

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タイトル別名
  • Risk management strategy in Mekong Delta under salinity condition : Focusing on migration and multi-product agricultural management
  • メコンデルタ ニ オケル エンガイ カ デ ノ リスクマネジメント : ロウドウ イドウ ト フクゴウ ケイエイ ニ チャクモク シテ

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説明

ベトナム南部に位置するメコンデルタでは国内消費だけでなく他のASEAN諸国への輸出用にも米を生産している。しかし,2015年に発生したエルニーニョ現象など,近年異常気象が発生し,食料の安定供給が脅かされている。「農業生産が深刻な被害を受けた際メコンデルタでは,所得の損失を緩和する手段として労働移動を選択しており,家計所得の事後リスク管理の一つであることが示唆される。しかし,損失が生じた場合に出稼ぎ労働に従事する可能性は,所得水準によって異なり,所得水準が低いほど,労働移動を選択する可能性が高くなると考えられる。本稿ではベトナムの世帯調査をもちい,世帯の状況と各世帯に最も近い観測点の塩害データを組み合わせることで分析を行った。結果から,塩分レベルが同じであれば,貧困世帯ほど送金への依存度が高いことが示された。つまり,貧困世帯は高所得世帯より,気候変動による被害は深刻で,環境変化に脆弱である。」また,聞き取り調査では,水田や河川での塩分のモニタリングが,重要であることが明らかになった。したがって,気候変動とその影響に関する予察情報が重要であり,結果として安定した農業生産が可能となり,世帯の都市部への移住の可能性低下に繋がる。

収録刊行物

  • 開発学研究

    開発学研究 31 (1), 19-25, 2020-07

    藤沢 : 日本国際地域開発学会

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