天草版平家物語論(一) : 後生を願う人々

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  • アマクサバン ヘイケモノガタリロン 1 ゴショウ オ ネガウ ヒトビト
  • A Study of the Fabian Edition of the “Feiqe Monogatari”. : Concerning the Word “Gosho”

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Abstract

日本人キリシタン・不干ハビアンの抄訳『天草版平家物語』(1592年、天草刊行)は、ローマ字表記(横書き)の特異な姿をもつ平家物語である。冒頭部「祇園精舎」の段を欠くこと、キリシタンの神を思わせる「天道」の語が強い印象を与えることなどから、これまで「仏教的な無常観とは異なる視点に立つ著作」と見られてきた。しかし、天草版四巻では、抄訳者が白拍子妓王・仏たちや滝口入道など、古典平家物語の主要な仏道発心、出家、念仏求道の物語を詳細に訳出し、また慎重な取捨を経た仏教語多数を用いている。ハビアンは決して仏教的な物語を排してはいない。その背景には16世紀末当時の、仏教語を自在に用いたキリシタン書の翻訳と出版の現場があった。「未来のゴロウリヤGloria」を望み、「後生を扶かる道」を求めよ、と説くキリシタン達の中で、ハビアンも「後生を願う人々」の物語を丁寧に語ったのである。

キリシタン書の日本語訳

仏教語と洋語

『日葡辞書』

妓王と仏

後生を願う

identifier:DB003700003032

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