後期ヴィクトリア朝の文学市場にみる著作権意識の変遷
書誌事項
- タイトル別名
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- A Change in Sense of Authorship in the Late Victorian Literature Market
説明
本稿は,文芸作品の知的所有権をめぐる実に多岐にわたる議論のなかで,職業作家という存在が社会的に認められてきた19世紀後半の後期ヴィクトリア朝という時期に注目し,著作権という概念の萌芽が,職業作家として主張できる権利だとみなされるようになっていく一過程を辿ろうとするものである。本稿で取り上げるのは,著作権法改正のロビー活動を行った文学者の言動や,著作権をめぐる文芸雑誌上の記事など,いわゆる法律の専門家ではない著作者たちによる多様な議論である。本稿の目的は,急速に読者層を拡大していったイギリス後期ヴィクトリア朝の文学市場において,著作者が出版業界に従事する「書き手(writer)」から著作権を所有する「作者(author)」として社会的に地位を確立した歴史的な分岐点での,創り手側の権利意識の変遷を検証することにある。そして,その検証をつうじて,「作者とは何か」を再考する一つの視座を提供することが,本稿の最終的な狙いである。
収録刊行物
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- 広島経済大学創立五十周年記念論文集
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広島経済大学創立五十周年記念論文集 下巻 347-368, 2017-07-31
広島経済大学
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1050577232667611520
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- NII論文ID
- 120006359002
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- departmental bulletin paper
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- データソース種別
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- IRDB
- CiNii Articles