米粒硬度や製粉条件が米粉性状に及ぼす影響

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タイトル別名
  • Effects of rice grain hardness and milling conditions on rice flour properties
  • コメツブ コウド ヤ セイフン ジョウケン ガ コメコ セイジョウ ニ オヨボス エイキョウ

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説明

米消費拡大を目的として各種の食品分野で米粉利用が進められている。米粉の性状は主に原料米性状および製造条件の組み合わせによって決定され,その後の加工品製造へも影響を及ぼす。小麦粉代替として米粉が利用される場合,粒径が細かく澱粉損傷度も低いことが望まれるが,精白米は製粉時に微細化するほど基本的に澱粉損傷度が高くなってしまう。そのため微細米粉の製造は製粉性の高い精白米を浸漬するなど澱粉損傷度を高めない方法で粉砕することが重要となる。米品種それぞれの製粉性は,具体的な粉砕や加工試験を行わなければ判断できない。また,微細米粉の製造は吸水と乾燥が必要となるためコストが高くなる。そこで微細米粉の効率的な製造方法確立のため,玄米の硬度と製粉性の関係および原料形状の改変による吸水効果の変化について検討を行った。玄米試料96種について硬度と搗精性状の関係を測定した結果,SKCS(Single Kernel Characterization System)硬度40以下は粉質米の系統であり精米歩合も低い結果となった。硬度55以上の試料は搗精が可能かつ硬度の数値が低いほど吸水を制限した場合のピンミル(スクリーンレス)による製粉性に優れていた。またその場合,硬度が低いほど,澱粉損傷度も低い傾向となった。精白米を完全吸水した場合,あるいは構造的にメッシュを通過する製粉機を使用した場合,玄米試料の硬度に関係なく作成された米粉は一定範囲の平均粒径,澱粉損傷度となった。原料精白米を予め粗砕し吸水した場合,吸水効率が向上する一方,25%程度の制限吸水を組み合わせることで目的とする微細米粉(澱粉損傷度6%以下,中位径75μm以下)の製造が可能であった。以上の結果より,製粉性に優れた品種,浸漬前の粗砕処理,制限吸水処理の組み合わせにより目標とする微細米粉が効率的に製造できる可能性が示唆された。

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