環境税における脱税の社会厚生的評価の理論的検討 : 公害税を中心に

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  • カンキョウゼイ ニ オケル ダツゼイ ノ シャカイ コウセイテキ ヒョウカ ノ リロンテキ ケントウ コウガイゼイ オ チュウシン ニ

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本論文では,ピグー税タイプの環境税が賦課された場合の脱税の経済的効果は,社会的余剰の変化に基づいて評価するという手法が用いられる.環境税において脱税が生じたならばどのような経済効果が生じるのかということを評価することによって測定するのである.環境税の賦課によって2つの効果が生じる.1つは,環境税の賦課によって外部不経済を内部化するというプラスの効果である.もう1つは,環境税は商品課税の一種として賦課されるため,市場をゆがめ死重損失を発生させるというマイナスの効果である.この2つの効果を合計することによって,環境税の効果が評価できることになる.課税によるマイナスの効果は,税の中立性をゆがめることによる効果でもある.したがって,課税された企業の中には中立性のゆがみによる不利益を回避するため脱税を図る企業も出てくる.しかし,脱税に関してはある確率θ%で成功するが,(1-θ)%で失敗することになる.脱税が成功した場合課税分だけ収入が増加するが,脱税が失敗した場合罰金を支払わなければならない.したがって,脱税に関しては,不確実性の下での選択とみなせる.もし脱税が行われるならば,市場のゆがみによる死重損失というマイナスの効果を削減させるため,社会的余剰を増加させることになる.しかしながら,外部不経済の内部化によるプラスの効果については,脱税によってその効果を減少させるため,社会的余剰を減少させることになる.したがって,脱税が行われた場合の経済効果は,これら2つの効果を合計することによって評価できることになる.

収録刊行物

  • 経済学季報

    経済学季報 59 (4), 45-85, 2010-03-20

    立正大学経済学会

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