心拍制御による運動負荷時の仕事量と運動耐容能について

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  • 竹谷 晋二
    聖マリアンナ医科大学付属病院リハビリテーション部
  • 山田 純生
    名古屋大学医学部保健学科
  • 小林 亨
    聖マリアンナ医科大学付属病院リハビリテーション部
  • 大宮 一人
    聖マリアンナ医科大学付属病院リハビリテーション部
  • 吉田 光伸
    三菱電機エンジニアリング

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抄録

[はじめに] 運動耐容能評価は一般に症候限界性により施行されるが、高齢者や疾患を有するものに対してはリスク管理上の問題から医師の立会いが必要であり,理学療法士単独では施行が困難である。そこで我々は,低強度の運動形態でかつ客観的な運動耐容能評価方法として,一定心拍数により運動負荷量を制御しその際の仕事量を測定する運動評価システム(心拍定常運動負荷試験:HRET)を作成した。そして,心拍の制御成績と再現性が良好な測定方法であることを報告した(2002PT学会)。今回は,本測定方法による仕事量と最高酸素摂取量の関連を検討し,運動耐容能評価としての妥当性を検討した。[方法]本測定に同意の得られた健常男性5名,女性6名(年齢26.8±5.8才,体重56.6±6.6kg,身長164±7.8cm)を対象とした。HRETによる運動は目標心拍を115拍と定め,その目標心拍に達するまでに要する時間を各被験者間で一定にするため,あらかじめ目標心拍に対応する負荷(目標負荷)を計測した。運動は,StrengthErgo240(三菱電機社製)を用いペダル駆動運動を行い,その際にLifescope6(日本光電社製)にて心拍数を計測し,運動中の心拍が目標心拍に収束するように以下の3相の負荷制御を行った。第1相では,運動開始から2分間で目標負荷まで漸増し,そのまま1分間目標負荷とした。第2相では,心拍が目標心拍-5拍に達していない場合に,負荷を増加した。第3相では,心拍を目標心拍に収束させるため,心拍と目標心拍との差と心拍の変化量から負荷量を調節した。こうして心拍定常状態を得た後の6から18分間の仕事量を測定した。 また,多段階漸増負荷法により最高酸素摂取量を測定した。各測定中は呼気ガス分析装置AE300S(ミナト医科学社製)を用いbreath-by-breath法により酸素摂取量の測定を行った。HRETで得られた仕事量と最高酸素摂取量の相関関係を検討するため,統計ソフトSPSS9.0を用いて,spearmanの相関係数を求めた。尚,各データは平均±標準偏差で表し,有意水準は5%未満とした。[結果]心拍定常運動負荷試験時の各被験者の平均心拍数は115.08±0.88拍,変動係数は0.91±0.48%,仕事量は2.9±0.9kJ/kg,最高酸素摂取量は42±7ml/kg/minであった。また仕事量と最高酸素摂取量には,相関係数r=0.89(p<0.01)の高い相関関係が認められた。[考察]本測定で得られた仕事量は最高酸素摂取量を反映することから、安全で信頼性の高い運動耐容能評価として臨床的有用性が高いと思われる。

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