D-アミノ酸に関する研究(第1報)

書誌事項

タイトル別名
  • Studies on the D-Amino Acids. Part I
  • D-アミノサン ニ カンスル ケンキュウ 1
  • Determination of D-Amino Acids by D-Amino Acid Oxidase
  • D-アミノ酸酸化酵素によるD-アミノ酸の定量について

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説明

(1) 豚の腎臓のD-アミノ酸酸化酵素をアセトン標品として使用しD-アミノ酸の定量の可能性を検討した.<br> (2) D-アミノ酸酸化酵素のD-アラニンに対するMichaelis恒数は至適pH 8.3において4.20×10-3molであった.<br> (3) 供試アミノ酸のうち活性を有するアミノ酸はその反応率,反応速度,至適pH等の特性から4群に分けることができた.第1群は定量的に反応し20分から30分で反応が終り,かつ至適pHの範囲が広いアラニンを含む9種類である.第2群は反応が定量的であるが,反応速度が第1群に比し遅く約1時間を要し,至適pHの範囲が比較的狭いもので,アルギニンを含む8種類である.第3群は反応が定量的でなく,反応速度も極めて遅くリジンを含む7種類,及び第4群は酸素吸収量が理論値以上のものであってセリン及びヒスチジンである.<br> (4) β-ハイドロキシグルタミン酸(スレオ型及びアロ型),ハイドロキシリジン,グリシン,メチルメチオニンスルポニウム, β-アラニンについては活性が見られなかった.<br> (5) 酵素反応が定量的でないセリン,ヒスチジンについては生成するケト酸の不安定性を推察し,スレオニンではアロ型スレオニンに比べ,物理的立体配置が酵素反応に適しないものと推定した.<br> (6) D-アミノ酸の測定に当って,塩化ナトリウム, L-アミノ酸の存在は阻害とはならない.<br> (7) L-アミノ酸に混在するD-アミノ酸の検出力は, L-イソロイシン中D-アロイソロイシンでは0.1%, L-グルタミン酸中D-グルタミン酸では0.2%程度であって, L-アミノ酸の光学的純度検定としてこの方法が最もよいと推論した.

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