鼻涙管下鼻甲介スイング法にて内視鏡下に摘出した上顎洞血瘤腫例

  • 北村 嘉章
    徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部耳鼻咽喉科学分野
  • 三好 仁美
    徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部耳鼻咽喉科学分野
  • 松岡 百百世
    屋島総合病院耳鼻咽喉科
  • 藤井 達也
    徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部耳鼻咽喉科学分野
  • 松田 和徳
    徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部耳鼻咽喉科学分野
  • 武田 憲昭
    徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部耳鼻咽喉科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Endoscopic Approach to Organized Hematoma of Maxillary Sinus Using the Swinging Technique of Nasolacrimal Duct and Inferior Turbinate

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抄録

鼻涙管下鼻甲介スイング法を用いて内視鏡下に摘出した上顎洞血瘤腫例を経験したので報告する。症例は63歳女性で主訴は右鼻出血。CTでは右上顎洞内に膨張性の発育を示す軟部組織陰影が充満し,上顎洞自然口付近から腫瘤中心部にかけて不均一な造影効果を認めた。MRIではT1強調画像で等信号域,T2強調画像で辺縁が低信号域,内部が低信号域と高信号域が混在した腫瘤を認めた。画像所見から血瘤腫を疑い血管造影で栄養血管を確認し,手術前日に塞栓術を施行した。内視鏡下副鼻腔手術により,腫瘤を一塊に切除する目的で鼻涙管下鼻甲介スイング法を用いて摘出術を行った。まず粘膜下下鼻甲介骨切除術を行った後,下鼻道側壁粘膜を剥離し,鼻涙管と下鼻甲介粘膜を一塊として温存した。次に鼻涙管と下鼻甲介を内側・外側へスウィングさせながら上顎洞内側壁を広く切除し,上顎洞を大きく開放した。鼻涙管と下鼻甲介を内側へスウィングさせることで,鼻涙管の前方を経由して上顎洞へアプローチし,上顎洞内の大部分を直視鏡下に弯曲の少ない手術器具を用いて処理でき,血瘤腫を一塊に上顎洞粘膜から切除した。鼻涙管下鼻甲介スイング法は,鼻涙管や下鼻甲介粘膜機能を温存して上顎洞内の処理を広い術野で直視鏡下に行うことが可能であり,血瘤腫などの上顎洞を主座とする腫瘤性病変に広く有用であると考えられた。

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参考文献 (8)*注記

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