急性虫垂炎の術前超音波検査での糞石像の臨床的意義について

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タイトル別名
  • Clinical Significance of Appendicolith Detected Sonographically in the Management of Acute Appendicitis in Children
  • キュウセイ チュウスイエン ノ ジュツゼン チョウオンパ ケンサ デ ノ フンセキゾウ ノ リンショウテキ イギ ニ ツイテ

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抄録

【目的】急性虫垂炎の術前超音波検査における糞石像の,手術適応や保存的治療後の再発などにおける臨床的意義について検討する.【対象と方法】2005年1月から2010年2月の間に急性虫垂炎と診断された15歳以下の小児のうち,初発で,超音波検査による治療方針の決定がなされ,かつ糞石像の有無の記載があった219人を対象とした.手術適応は,糞石の有無とは独立して過去の報告に記載されている超音波検査での診断基準により決定した.手術例については病理所見,非手術例については入院後の転帰,退院後の再発について後方視的に検討し,術前超音波検査での糞石像の有無が手術適応・手術時病理所見や再発の有無などにどの程度影響しているかを明らかにした.【結果】腹部超音波で糞石像あり群の83%(74/89)を手術適応と診断し,そのうち81%(60/74)を病理診断で壊疽性と診断した.一方,糞石像なし群では42%(54/130)が手術適応と診断され,67%(36/54)が壊疽性であった.また,糞石の有無に関わらず,超音波検査で手術適応でないと診断された群は,保存的に治癒し退院した.退院後再発率に両群間で有意差はなかった.【結論】腹部超音波検査での糞石像陽性例は手術適応となる可能性が糞石像陰性例より高く,糞石像を認めれば手術適応である可能性は高いと言えた.しかし,糞石像ありでも保存的に治癒する例もあり,また再発率にも差はないことから,糞石像のみで手術適応とすることは避けるべきであると考える.

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