損害防止費用とは何か
-
- 中出 哲
- 早稲田大学商学学術院
書誌事項
- タイトル別名
-
- Legal Principles of the Law requiring Compensation of Costs of Mitigation of Loss
- -損害防止費用における損害の意味-
抄録
保険法は,損害てん補方式の保険契約について損害防止義務を定め,その費用を支払対象と規定するが,その内容は約款で大幅に変更される場合も多い。ヨーロッパ保険契約法原則は,この問題を因果関係の問題と位置付けていて注目される。損害防止費用を分析すると,複雑性,予測困難性,複合性等の特徴があり,損害防止側と保険者側において損害の認識に違いがある場合があり,被保険者等に義務を課して対応費用をてん補する理論が適合するか疑問がある。課すべき義務は保険の存在によって損害を悪化させてはならないという消極的義務と考えられ,そうであれば費用てん補は特に追加して支払うものといえる。この制度は損害てん補の給付方式に特有といえるかも疑問で,モラル・ハザード等をもとに保険種目毎に実態に応じた設計が必要で,保険法の解釈においてもこれらの特徴を踏まえる必要がある。
収録刊行物
-
- 保険学雑誌
-
保険学雑誌 2012 (618), 618_97-618_116, 2012
日本保険学会
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390001205164072704
-
- NII論文ID
- 130004555705
-
- ISSN
- 21855064
- 03872939
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- Crossref
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可