一純粋失読例における漢字・仮名の乖離の検討

  • 福永 真哉
    姫路獨協大学 医療保健学部 言語聴覚療法学科 獨協医科大学 神経内科 長尾病院 言語療法科
  • 服部 文忠
    長尾病院 内科
  • 田川 皓一
    長尾病院 (附) 福岡高次脳機能障害センター
  • 生方 志浦
    京都民医連第二中央病院 リハビリテーション部 神戸大学大学院 保健学研究科

書誌事項

タイトル別名
  • Investigation of Kanji and Kana Reading Discrepancies in a Pure Alexia Case
  • —Comparison of Oral Reading and Kinesthetic Facilitation Reading of Single Kanji and Kana—
  • ─漢字・仮名一文字の音読となぞり読みの比較から─

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説明

純粋失読の読字障害は,漢字と仮名の両方にみられるとされているが,一方が強く障害されて乖離するという報告もあり,いまだ一定の結論が出ているとは言いがたい。また,漢字と仮名のなぞり読みにおける乖離について,漢字の条件を統制し,仮名と比較した検討はこれまで行われていない。我々は,左後頭葉から脳梁にかけての損傷で,純粋失読を呈した一症例を経験した。本症例は,標準的な失語症検査において,仮名の読みが漢字の読みに比して良好であった。しかし,漢字の条件を統制して比較を行ったところ,音読,なぞり読みともに,形態が単純で,高親密度,高頻度の漢字と仮名との間では有意差を認めなかったが,形態が単純で,高親密度,高頻度の漢字と,形態が複雑で,低親密度,低頻度の漢字の間では有意差が認められた。また,形態が複雑で,低親密度,低頻度の漢字においては,なぞり読みが有効な傾向にあった。本症例において,漢字の読字過程は複雑さ,親密度,頻度によって,異なっている可能性が考えられた。

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参考文献 (13)*注記

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