本邦産Archips属の再検討

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タイトル別名
  • A REVISION OF THE GENUS ARCHIPS FROM JAPAN

抄録

ここでは,これまで1属として扱われてきたArchips属の種を4属に分け, Choristoneura属に移されるadumbratanaを除く,3属の種についてまとめた.うち,1属はlongicellanaをtypeとする新属で,2新種,1本邦未記録種,及び学名訂正などを加えた.従来のArchips属の種は次ぎのように分けられる. Genus Archips HB.-purpuratus(新種), issikii, fumosus, crataeganus, xylosteanus, fuscocupreanus, nigricaudanus. 以上の7種で,従来Archips属のtypicalグループとして知られてきたものである. Genus Archippus FREEMAN.-insulanus(新種), peratratus, capsigeranus, similis(=piceanus), asiaticus, decretanus(本邦未記録), breviplicanus, ingentanus, semistractus (=brevicervicus), contemptrix.以上の10種.前者とは次ぎの点で異る.Uncusはこん棒状を呈しない. Valvaはより丸く,大きい.Sacculusは強く骨化し,前者のように幅広くならない。 Cestumはductus bursaeの半分位の長さで,欠く場合もある. Genus Hoshinoa KAWABE(新属)-longicellanaのみが属する.雄のcostal foldの形態はChoristoneura属に,脈相はPlanostocha属の範囲に所属し,雄の交尾器の形態はむしろHomona属に近い.しかし,雄の頭頂部にみられる窪みはハマキガ以外の蛾の仲間にもみられない特異的形態である.これが何の役目をはたすかは今後の検討にまちたいと思う. Genus Choristoneura LD.-adumbratana. 以下,種についての新知見の主要なもののみを簡単に解説しておく. Archips purpuratus KAWABEムラサキカクモンハマキ 雄はissikiiに,雌はxylosteanusに似るが,地色に濃い紫色を加味することで区別出来る.北海道・本州山地に分布し,7月から8月にかけて出現する. Archippus insulanus KAWABE チビカクモンハマキ 小型の蛾で,沖永良部島,南大東島で,1月から4月にかけて採集された標本にもとづき記載した. Archippus similis(BTLR.)マツアトキハマキ 本邦でpiceanusとして知られてきた種で,真のpiceanusは本邦に分布しないものと考える.本種は1879年にBUTLERによって本邦から記載され,後に1900年にWALSINGHAMによって再度本邦から記録されたものの,以後,正体不明のままであった.幸いヨーロッパのpiceanusを検討する機会を得,後にBritish Museumのsimilisのtype標本と比較検討により,本邦でpiceanusとして扱われてきた種が,間違いなくsimilisであることが判明した. Archippus decretanus(TR.)コアトキハマキ 今日まで全く知られていなかったもので,飯島氏によつて,北海道の標茶から採集されたものである.brevi-plicanusに非常に近似しているので,これまでも混同されて同定されてきたかも知れない.雌雄共に交尾器で容易に区別される. Archippus semistractus(MEYR.) アトウスキハマキ 本種はbrevicervicusとして,図説,記載されてきた種で,関東の平地に普通にみられるものである.

収録刊行物

  • 蝶と蛾

    蝶と蛾 16 (1-2), 13-40a, 1965

    日本鱗翅学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205263911808
  • NII論文ID
    110007706905
  • DOI
    10.18984/lepid.16.1-2_13
  • ISSN
    18808077
    00240974
  • 本文言語コード
    en
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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