クローズド・コロニーとして維持されているマウス集団の有効な大きさ

書誌事項

タイトル別名
  • The Effective Population Size of Mouse Colonies
  • クローズド コロニー ト シテ イジ サレテ イル マウス シュウダン ノ ユウコウ ナ オオキサ

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説明

1.クローズド・コロニーとして維持されているマウス集団に育種学的操作を加えようとする時は集団遺伝学的な理論を応用せねばならない。この場合集団遺伝学の理論的展開をおこなう上での重要なパラメーターの1つである集団の有効な大きさを推定する必要がある。<BR>2.一般の家畜の集団に適用する目的をもって導びかれた集団の有効な大きさ (N) の推定式にマウス集団でみられる繁殖構造上の特性を導入し, 以下に示す式を導びいた。この式において, sは親世代から仔世代への増減率を, Cは1匹の雄親に交配されている雌親の数を, Nmは親世代で繁殖に使用されている雄親の個体数を, σ2kmは雄親が仔世代へ寄与した仔 (配偶子) の数の分散を示している。<BR>3.実験動物中央研究所で維持されているICR-JCL集団を用いて調査をおこない, 上記の推定式を導びくために必要な条件がほぼ満足されていることを示した。<BR>4.更に上記のICR-JCL集団について, 5世代にわたり有効な大きさを推定した結果1世代当り300~400の間であることが判明した。また, この集団の見かけの大きさと, 有効な大きさが, いちじるしく異なる原因は, 雌雄の個体数が異なることと, 各個体の残した仔数の分散が, ランダムに残した場合の分散に比して異常に大きいことによるものであることを論じた。<BR>本研究をおこなうに当り, 終始御指導, 御助言を賜った名古屋大学農学部野沢謙助教授ならびに近藤恭司教授に厚く御礼申し上げる。また, いつも変らぬ御鞭撻と有益な御批判をいただく東京大学医科学研究所田嶋嘉雄教授ならびに実験動物中央研究所長野村達次博士に謝意を表する。

収録刊行物

  • 実験動物

    実験動物 18 (1), 7-15, 1969

    公益社団法人 日本実験動物学会

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