地域在住高齢者の社会関連性の20年間推移とコミュニティリソースの影響

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タイトル別名
  • Changes in social interaction over 20 years and the effects of community resources use among community-dwelling elderly persons
  • チイキ ザイジュウ コウレイシャ ノ シャカイ カンレンセイ ノ 20ネンカン スイイ ト コミュニティリソース ノ エイキョウ

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抄録

<p>目的 孤立化,無縁化と高齢者の社会との関わりの問題が社会問題とされる現在,実際の社会との関わりの変化を比較した研究や社会との関わりへの影響要因に関する研究は乏しい。本研究は地域在住高齢者の20年間の社会関連性の変化および,コミュニティリソースに焦点を当てて,その影響要因を明らかにすることを目的とする。</p><p>方法 対象は大都市近郊に存する農村である飛鳥村に居住する65歳以上高齢者である。分析は,1994年から2014年に行われた計8回の悉皆調査の質問紙調査においてそれぞれの調査年度ごとに社会関連性指標の領域点および総合得点を算出し,1994年時と2014年時の得点をWilcoxonの順位和検定を用いて比較した。また,社会関連性の変化の要因を明らかにするため,2014年の社会関連性を目的変数とした多重ロジスティック回帰分析を行い,2011年時のコミュニティリソースの利用経験(地域包括支援センターや保健センター,健康増進施設,図書館)の利用との3年後の関連を検討した。多重ロジスティック回帰モデルには調整因子として年齢・性別・疾患・移動能力を投入した。</p><p>結果 1994年と2014年の社会関連性指標得点を比較するとすべての年代で総合得点が有意に上昇し,男女別にみると女性の総合得点が漸増していた。領域別では,生活の主体性領域で,女性の65歳以上および75-84歳の得点が有意に上昇していた。社会への関心領域は男女ともに得点が有意に漸増しており,20年間で高齢者の社会への関心が高まっていた。社会関連性の要因分析では,健康増進施設の利用および地域包括センター,保健センターの利用が3年後の社会関連性総合得点と関連していた。</p><p>結論 本研究では,社会関連性指標に着目し,同一コミュニティの高齢者の20年間の社会との関わりの推移を総合的,領域的に明らかにした。地縁の希薄化など高齢者の社会との関わりの低下が注目されている昨今だが,本研究の結果より,高齢者の社会への関心や生活の主体化などの社会との関わりが20年で高くなっていることが示唆された。これらは地域包括支援センターや保健センターでの予防的介入や健康増進施設での介入など介護予防事業の効果が一因として考えられる。</p>

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