フォントの違いが漢字の読みにもたらす影響

Description

<br>【目的】構造の複雑さに幅のある漢字の場合、画数の多少によってウェイト(線の太さ)と閾値文字サイズの関係は異なる(山中・小田,2007)。閾値以外の視認性の指標は、フォントや画数によってどのように変化するだろうか。文脈から切り離した漢字を音読させ、フォント、ウェイト、画数が読みの3つの指標:読書視力(RA)、臨界文字サイズ(CPS)、最大読書速度(MRS)にもたらす効果を調べた。<br><br>【対象と方法】刺激には1~20画の漢字90文字を用い、画数の多少で4段階に区分した。その4段階からそれぞれ5文字をランダムに抽出し一文字おきに並べた。前後に1行のランダムなひらがな10文字を配置した。フォントはモリサワ新丸ゴシックのウェイトL、M、U、平成明朝のW3、W5、W9を用いた。被験者は5文字の漢字をできるだけ早く正確に音読し、誤読数と読み時間が記録された。呈示刺激を0.1log単位で小さくしていき、被験者が一文字も読めなくなるまでこの手続きを繰り返した。誤読数と読み時間から各条件のRA、CPS、MRSを求め比較した。被験者は裸眼または矯正で小数視力1.0以上を有する日本人女子大生5名であった。<br><br>【結果】フォント、ウェイト、画数を要因とした3元配置の分散分析を行った結果、RAはウェイト(F(2,24)=5.948,p<.05)と画数(F(3,24)=238.974,p<.01)の主効果、CPSはフォント(F(1,24)=8.5,p<.05)と画数(F(3,24)=30.201,p<.01)の主効果、MRSはウェイト(F(2,24)=7.307,p<.05)の主効果が有意であった。<br><br>【結論】読みのどの指標かによって、フォント、ウェイト、画数がもたらす効果は異なる。

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390001205666013056
  • NII Article ID
    130007005511
  • DOI
    10.14908/jslrr5.10.0.105.0
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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