Geographical analysis of the unutilized real estates in the city center of local cities

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  • 地方都市の中心市街地における未利用不動産の地理学的分析
  • 全国553自治体に対する調査から
  • A case study of 553 municipalities in Japan

Abstract

   2000年代前後より,地方都市の中心市街地における遊休不動産(未利用不動産)が増加し,その跡地・後施設をめぐる利活用の停滞が「まちづくり」の阻害要因となっている。箸本は,2012年に大型店撤退跡地に限定した利活用の現状調査を行い,①地方都市の50.4%が1件以上の大型店撤退を経験し,②跡地利用の遅滞が通行量の減少,近接する商店街の衰退など多面的なダメージをもたらし,③郊外型大型店との競合を見据えると,跡地を商業施設のみで補填することはほぼ不可能である一方,④空き店舗に加え,オフィス,個人商店,公共施設など多様な未利用不動産が中心市街地の活性化を阻害している,との結論を得た。 <br>   この間政府は,地方都市で不動産証券化の枠組を活用し,未利用不動産の流動化を図るほか(国土交通省, 2010),中心市街地活性化法(中活法)の一部改正による中心市街地への民間投資の拡大を喚起しているが,その効果は未知数である。そこで今回,1995年時点で人口規模2万人を超え,かつ特別区および政令指定都市を除外した地方都市846市町村(2012年調査と同基準)を対象とし,1)事業用ビル(商業施設,オフィス,病院等),2)個人商店(空き店舗),3)公的セクタが所有するビルの3区分について,a. 空きビル・空き店舗の推移,b. 中心市街地への影響と対応,c. 経済的支援や転用・利活用の支援,d. 利活用の阻害要因,e. 不動産投資主体による未利用不動産取引の状況,f. 中活法改正への評価,等を骨子とするアンケート調査を実施した。<br>   調査の結果、まず,空きビル・空き店舗の推移に関しては,事業用ビルで57.6%,空き店舗で80.8%,公的ビルで 36.0%の自治体が,それぞれ「増加している」「やや増加している」と回答している。その上で中心市街地への影響について,①商店・飲食店の減少(63.1%),②一体感・回遊性の低下(62.7%),③消費の郊外・他自治体への流失(62.7%)などと受け止めている。次に,当該自治体の対応としては,空き店舗を主体とする家賃補助(37.2%)を筆頭に,地元商業者の利用支援(12.4%),まちづくり団体・NPO等の利用支援(10.7%)など積極的な対応は鈍く,特に支援をしていない(38.8%)とする回答に届いていない。また,利活用の阻害要因については,適切な参入事業者の欠如(事業用ビル),空き店舗の住居化(空き店舗),開発をめぐる財源不足(公的ビル)が,それぞれのカテゴリーで最も高い理由に挙げられたほか,耐震補強問題がカテゴリーを共通して高い回答率を示した。 一方,不動産投資主体による空きビル・空き店舗の取引事例については,3分の2以上の自治体が実情を把握しておらず,調整や情報提供などの対応を取っていない自治体が94%に上るなど対応は後手に回っている。さらに2014年7月に施行された中活法改正についても,4つの改正のポイントについて,「大いに期待できる」「少しは期待できる」と評価する自治体の比率が,いずれの項目でも50%を下回るなど,中央の政策と地方都市の現場との温度差が浮き彫りとなっている。<br>    当日は以上の調査結果を精査するとともに,地方都市の中心市街地における未利用不動産の利活用が直面する課題と,自治体の政策的対応の方向性を検討する。

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Details

  • CRID
    1390001205694908800
  • NII Article ID
    130005489804
  • DOI
    10.14866/ajg.2015s.0_100070
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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