フッ化水素酸による手指化学熱傷の4例

  • 鬼澤 沙織
    筑波大学大学院人間総合科学研究科疾患制御医学専攻皮膚病態医学分野
  • 中村 泰大
    筑波大学大学院人間総合科学研究科疾患制御医学専攻皮膚病態医学分野
  • 石塚 洋典
    筑波大学大学院人間総合科学研究科疾患制御医学専攻皮膚病態医学分野
  • 古田 淳一
    筑波大学大学院人間総合科学研究科疾患制御医学専攻皮膚病態医学分野
  • 石井 良征
    筑波大学大学院人間総合科学研究科疾患制御医学専攻皮膚病態医学分野
  • 川内 康弘
    筑波大学大学院人間総合科学研究科疾患制御医学専攻皮膚病態医学分野
  • 大塚 藤男
    筑波大学大学院人間総合科学研究科疾患制御医学専攻皮膚病態医学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Four Cases of Chemical Burn of the Fingers Caused by Hydrofluoric Acid
  • フッカ スイソサン ニ ヨル シュシ カガク ネッショウ ノ 4レイ

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抄録

フッ化水素酸による手指化学熱傷の4例を報告する.症例1:35歳女性,実験助手.実験の後片づけで,1%フッ化水素酸が右3指に接触した.症例2:51歳男性,建築業.建築作業時に9.5%フッ化水素酸含有剤を素手で使用した.使用後より手指に激しい疼痛が出現した.症例3:38歳男性,建築業.建築作業時に9.5%フッ化水素酸含有剤を使用していたところ,着用していた右手袋の亀裂から同剤が流入し接触した.右2指に激しい疼痛が出現したのち,全指に疼痛が拡大,増強した.症例4:38歳男性,半導体製造業.半導体洗浄用50%フッ化水素酸を使用中に,着用していた右手袋の亀裂から同剤が流入し接触した.右4指に激しい疼痛が出現し当科を受診時には指尖部は壊死していた.治療に関しては,症例1,2はグルコン酸カルシウムの局注で症状は軽快消失した.症例3,4ではグルコン酸カルシウムの局注では効果なく,橈骨動脈からの動注に切り替えたところ,症状は速やかに軽快,消失した.フッ化水素酸による手指化学熱傷は,暴露濃度により重症度が異なり,重症度に即した適切な治療の選択が要求される.通常のグルコン酸カルシウムの局注や静注治療で軽快しない重症例では,速やかに動注を行う必要がある.

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参考文献 (16)*注記

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