脱毛を合併するビタミンD依存性クル病Ⅱ型の5症例

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  • [Five cases of vitamin D-dependent rickets type II with alopecia].

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抄録

紫外線照射により皮膚で合成されたり,または食物として摂取されたビタミンDは,肝臓と腎臓で水酸化を受け,ビタミンD作用(カルシウム代謝の調節など)を実際に発揮する1.25-dihydroxyvitaminD3(1.25(OH)2D3と略記)に変換される.1.25(OH)2D3は標的臓器細胞中の特異レセプターと結合し,DNAに働き,蛋白合成を介してホルモン効果を発揮する.この一連の機序のどこかに障害があるとカルシウム代謝異常症が出現する.1978年,Brooksらは,1.25(OH)2D3の合成,代謝は正常であるが,それに対する標的細胞内のレセプター異常の結果発症するクル病をビタミンD依存性クル病Ⅱ型(Vitamin D Dependent Reckets type II,以下DDR2と略記)として報告した.以後30例近く報告されているが,注目すべきことに大半の患者に脱毛がみられる.本邦でも6症例の報告を見るが,いずれも小児科,内科医により発表され,皮膚医にとってなじみの少ない疾患と思われる.しかし乳幼児,小児における脱毛の診察にあたっては,鑑別疾患の1つにあげねばなるまい.今回我々は脱毛を伴うDDR2の5症例を経験したので,主に脱毛についての考察を加えて報告する.

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