靴を脱ぐ環境における足底への皮膚糸状菌の付着状況―病院,居酒屋,ホテルの客室の検討―

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抄録

病院,居酒屋,ホテルの客室などの靴を脱ぐ環境における足底への皮膚糸状菌の付着状況を検討した.対象環境は靴を脱いで靴下ないし裸足になる場所で,それぞれ4施設の病院,居酒屋,ホテルを検討した.被験者は白癬に罹患していない健康な41歳男で,培養法は足底を培地に直接圧抵するFoot-press培養法,培地は5FCなどを添加したサブロー・ブドウ糖寒天培地を用いた.各実験前に被験者の両足底のFoot-press培養法は陰性であった.次に被験者が各施設で裸足になり,病院の体重計と患者用スリッパは使用後に,病院のリハビリセンターのマットと待合室,居酒屋およびホテルの客室は歩行後に,Foot-press培養法を再度行った.その結果,それぞれ4施設のうち,皮膚糸状菌が生えた施設数は病院の体重計2,スリッパ1,マット1,および居酒屋2で,病院の待合室とホテルの客室はすべて陰性であった.また,皮膚糸状菌の菌種別では分離した46コロニーのうちTrichophyton rubrum29,T.mentagrophytes17コロニーであった.以上から既に報告した共同浴場,プール,患者家庭に比較すると付着頻度と集落数は少ない傾向にあったが、皮膚糸状菌が付着しにくい環境と考えられる病院と居酒屋においても被験者の足底に菌が付着することがあることが証明された.さらに被験者は特別な予防を行っていないが足白癬を発病しておらず,菌は付着するが発病することはまれであることが再確認された.

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