子どもの運動をめぐる格差問題への体育経営管理的アプローチ

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抄録

<p> 「権利としてのスポーツ」がわが国のプロモーション理念とされるようになった今、子どもに対する一定水準以上の体力・運動能力の保障とそのための運動機会へのアクセスの平等性確保は、公共的課題である。しかしながら、急速に進行した子どもの運動生活の外部化(社会化)は、子どもと運動・スポーツとの関係を変容させ、子どものスポーツ生活能力を収奪していった。今や子どもたちは、大人による管理と保護のもとでしかスポーツ活動は展開できないという状況となり、放課後に学校のグラウンドや近所の空き地で群れ遊び(遊びの共同生産)に興じるかつての子どもたち(未組織的グループ)の姿に遭遇することは極めて少ない。子どもスポーツの組織化の波からはみ出された子どもたちを救うセーフティネットの整備が急がれている。</p><p> 一方、長期にわたる体力低下現象や運動する子としない子の二極化については、かねてから問題視され続けてきた。しかしこれらの問題現象を「格差問題」と関連づけて解釈する視座が体育学において提起されることはなかった。今後は、子どもの体力問題を、身体問題や発達問題として捉える自然科学的アプローチだけでなく、社会的構造に由来する社会問題と捉え、社会科学的アプローチにより政策面と経営面から格差縮小策を検討することが求められる。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205813122304
  • NII論文ID
    130006352300
  • DOI
    10.20693/jspehss.68.41_2
  • ISSN
    24241946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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