玩具映画の受容における視覚性と触覚性

DOI
  • 雑賀 広海
    京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程

Bibliographic Information

Other Title
  • チャンバラ映画分析からのアプローチ

Description

本論文が着目するのは、玩具映画と呼ばれるメディアである。玩具映 画とは、戦前の日本でこどもの玩具として販売された簡単な映写機と短 い 35mm フィルムのことを指す。これを用いてこどもたちは家庭で映画を 上映していた。本論文は、玩具映画で遊ぶこどもの視覚性に、映画館 の観客のそれとは異なり、触覚性が介入してくることを明らかにした。 戦前期において家庭の映画鑑賞に使われたメディアは、玩具映画のほ かに小型映画もあった。しかし、こどもとの関係から見ると、小型映画 は教育目的で使われることが多く、したがって、こどもは受動的な姿勢 が要求された。玩具映画の場合、それが玩具であるということによって、 こどもは能動的なアクションをとる。つまり、こどもの視覚性のなかに、 玩具に触れるという触覚性が介入してくるのである。こどもと玩具映画 が結ぶこうした遊戯的な関係性は、現代のメディア環境を考察するうえで も重要な概念となるという結論に至った。

Journal

  • Cinema Studies

    Cinema Studies 12 (0), 4-25, 2017

    The Japan Society for Cinema Studies

Details 詳細情報について

  • CRID
    1390001205813371136
  • NII Article ID
    130006282088
  • DOI
    10.20758/jscsj.12.0_4
  • ISSN
    24239399
    18815324
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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