映像視聴能力の形成と評価に関する実証的研究 : みどりの地球の継続視聴から

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タイトル別名
  • Development and Evaluation of Audiovisual Literacy : Viewing of The Series "green earth"

抄録

小学校3年から6年までの児童126名が,NHKテレビ学校放送・環境教育番組「みどりの地球」を1年間継続視聴した。そのうちの数本の番組について,放送からの発展学習を展開した。また,児童の映像視聴能力を評価するために,およそ2月半のインターバルをおいてプリテストとポストテストを実施した。さらに各番組視聴直後に,児童たちは印象および制作者のねらいを書くように求められた。本研究の主なる結果は,次の通りであった。(1)映像視聴能力を評価するための道具を開発した。例えば,概念的知識の定着をみるための知識テスト,知識の体制化を評価するためのグルーピングテスト,イメージの質と量を評価するためのイメージ・マップ,制作者のねらいを読みとるための主題把握力テスト,および感情強度を測るためのSD法などであった。(2)これらのテストによって評価された各映像視聴能力がどのような構造をなしているのか,因子分析法を用いて検討した。その結果,各視聴能力は「認知」と「イメージ」という二つの因子に分類されることがわかった。(3)視聴能力の一つである知識の体制化と知能との関係において,興味深い二つのパターンが見出された。一つは,プリテスト段階ではほとんど相関が認められないのに,ポストテスト段階になるとかなり相関がみられ,当の視聴能力に関する個人差が大きくなるパターンである。もう一つのパターンは,プリテスト段階ではかなり高い相関関係が認められ,当の能力に関する個人差が大きいのに,ポストテスト段階になるとほとんど相関がみられなくなるものである。前者のパターンには3年と5年,後者のパターンには4年と6年があてはまった。(4)放送からの発展学習の内容や形態が,中学年(3年と4年)と高学年(5年と6年)でかなり異なることがわかった。つまり,高学年になると,調査の内容や方法は多様化し,高度なものとなった。またグループ編成もテーマ別のプロジェクト形式となり,共通課題をもつ者同士が臨機応変にグループをつくることが多かった。これに対して,中学年では,調査内容も単純で型にはまったものが多く,グループ編成も固定的であった。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001206054262272
  • NII論文ID
    110009751388
  • DOI
    10.24458/ebr.10.0_1
  • ISSN
    24330892
    03863204
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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