慢性甲状腺炎, Graves病の臨床病理学的研究: その組織分類と機能との関連

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タイトル別名
  • CLINICOPATHOLOGICAL STUDY ON THE CHRONIC THYROIDITIS AND GRAVES' DISEASE
  • 慢性甲状腺炎, Graves病の臨床病理学的研究
  • マンセイ コウジョウセンエン Gravesビョウ ノ リンショウ ビョウリガク
  • RELATIONSHIP BETWEEN HISTOLOGICAL CLASSIFICATION AND FUNCTION
  • その組織分類と機能との関連

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抄録

慢性甲状腺炎の組織学的分類としてWoolnerによる分類が繁用されているが,これら各組織型とTRHテストを含む詳細な甲状腺機能との相関については,十分な検討が行なわれていない.そこで組織学的に慢性甲状腺炎, Graves病と診断された393例の生検材料より,新たな組織分類を作製し, TRHテストを含む甲状腺機能と各組織型間の関連について検討した.なおこれらの中には慢性甲状腺炎の初期像と見られる小児例も多数含まれ,興味ある結果が得られた. A型は若年者から高令者にわたつて見られ,その大部分は機能低下傾向を示す.特に境界域から顕性の機能低下例が多く,加令と共に間質のfibrosisが進行する. B型は,その多彩な組織所見に対応して,機能亢進,正常,低下例が混在する.これらB型例における機能状態は,ほぼ構成上皮-特にhyperplastic follicleとoxyphilic-microfollicleの割合により大きく影響をうける. hyperplastic follicleは機能低下傾向と共に著減し,又加令と共に漸減する.一方oxyphilic-microfollicleは機能低下傾向と共に漸増する. C型は従来より機能は正常に保たれるとされてきたが,今回の検討では,全体の約10%にTRHに過剰に反応する潜在性機低下例が見られ,これらはCI→CIIIと細胞浸潤域の増大に伴つて増加する. D型は一様に増殖性変化を示すGraves病様病変であり,全例機能亢進を示す.しかし長期間の抗甲状腺剤投与により,しばしば組織像の変化を招き,組織学的にB型機能亢進例との鑑別が困難である.

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