GPSを用いた放牧肥育牛の行動量およびエネルギー消費量に対する肥育期と季節の影響評価

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  • Assessing the effect of the changes in fattening stages and seasons on the amounts of movement and energy expenditure of fattening cattle in grazing condition using GPS
  • GPS オ モチイタ ホウボク ヒイクギュウ ノ コウドウリョウ オヨビ エネルギー ショウヒリョウ ニ タイスル ヒイクキ ト キセツ ノ エイキョウ ヒョウカ

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抄録

<p>日本国内の肉用牛肥育生産は、畜舎内において輸入濃厚飼料を大量に投入する飼養形態が一般的となっている。しかし、この慣行の肥育生産では、排泄される糞尿の集積が環境汚染を引き起こすことや、極度の輸入濃厚飼料依存により経済変動を受けやすいことなどの問題が指摘されており、代替手段として放牧適正の高い褐毛和種を用いた放牧肥育生産が注目されている。しかしながら、褐毛和種放牧肥育牛に対しては、放牧生産を実施するにあたり重要な情報となる放牧時の行動量やエネルギー消費量(EE)に関する知見は見られない。そこで本研究では、放牧肥育条件下における褐毛和種の行動量およびEEをウシに装着した全地球測位システム(GPS)により定量評価し、さらにそれらに対する肥育期と季節の影響を検討することを目的とした。2015年の夏と秋の2期間、熊本県農業研究センター草地畜産研究所の放牧地において、褐毛和種去勢肥育牛9頭を用いた放牧試験を行った。9頭のウシを各放牧地に3頭ずつ3つの放牧地に分けて放牧し、GPS首輪を用いて位置情報を1分間隔で取得した。取得した位置データと試験地の数値標高モデル(DEM)画像より、各個体の1日あたりの歩行距離、水平移動距離、垂直移動距離、各利用強度における行動圏面積および平均斜度を算出し、佇立時のEEを1とした場合の歩行時のEE(EE比)を算出した。各期間の各個体の試験開始前体重に対し、500 kgを基準として肥育期を前期および後期の2期に区分し、各算出項目に対して肥育期および季節が及ぼす影響を調べるため、最小二乗平均値を推定した。その結果、肥育後期のウシの行動量やEE比が、前期のウシに対して有意に増加したことが認められた(P<0.05)。また、夏に比べ秋ではウシの行動量やEE比が有意に減少したことが認められた(P<0.05)。</p>

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