「個人化社会」と農業と環境の持続可能性のゆくえ――クオリティ・ターン以後――

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タイトル別名
  • Individualized Society and the Sustainability of Agriculture and the Environment since the ‘Quality Turn’
  • 「 コジンカ シャカイ 」 ト ノウギョウ ト カンキョウ ノ ジゾク カノウセイ ノ ユクエ : クオリティ ・ ターン イゴ

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抄録

<p>有機農産物がスーパーマーケットなどでも容易に手に入れることができるようになった今日において,環境社会学が問うべき「農業と環境の持続可能性」をとりまく現実とはどのようなものだろうか。ここでは,「クオリティ・ターン」と「個人化」をキーワードに,主として1990年代以降の消費社会に生じた変容と農業をめぐる人びとの対応を概観し,農業と環境の持続可能性をめぐる新たな構図とそのゆくえについて考えてみたい。</p><p>まず,1990年代以降の農業が直面することになった新たな現実について,「クオリティ・ターン」と「個人化する消費」という2つの特質を導き出し,それをもとに農産物の商品化と市場の構築をめぐって生じた,従来の農業に代わる2つのイノベーションのプロセスを概観する。2つのイノベーションは,基本的にリテイル(スーパーマーケット・チェーン)と農業経営者によるアプローチに対応しているが,次に,この2つのアプローチについて,主に現代日本における野菜生産をめぐって生じている取り組みをふまえながら把握し,その具体的な様相を明らかにする。</p><p>最後に,2つのアプローチの関係性に焦点をあてながら,「農業と環境の持続可能性」をとりまいて生じた新たな現実について,その構図を整理し,そこから問題のゆくえを考察しつつ,今後の論点について若干の検討を行いたい。</p>

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