繁殖牛管理記録と気象庁データによる一日平均気温と分娩率の相関

  • 三浦 弘
    北里大学獣医学部獣医学科 臨床繁殖学
  • 菊池 元宏
    北里大学獣医学部獣医学科 臨床繁殖学
  • 坂口 実
    北里大学獣医学部獣医学科 臨床繁殖学

書誌事項

タイトル別名
  • Relationship between atmospheric temperature and calving rate in cattle
  • ハンショクギュウ カンリ キロク ト キショウチョウ データ ニ ヨル ツイタチ ヘイキン キオン ト ブンベンリツ ノ ソウカン

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抄録

<p> 乳牛の受胎率は気温の上昇により低下することが知られており,この主な原因は暑熱ストレスによる卵子や胚の品質低下や死滅であると考えられている.本研究は,気象庁による気温データと牛分娩率との相関を解析し,高気温の分娩率への影響を明らかにすることを目的とした.</p><p> 民間企業の運営する同一の繁殖牛管理アプリケーション「まきばの彼女」を使用する農家42 戸より,2012 〜 2014 年の繁殖データを匿名で使用する許諾を得たうえで,ホルスタイン種乳牛7,174 頭における人工授精(AI)と胚移植(ET)における分娩率(2012 〜 2013 年に行われたAI,ET のうち,分娩に至った例数の割合)を算出した.これに気象庁の一日平均気温のデータを加え,AI およびET 実施日の一日平均気温と分娩率について解析を行った.またこれとは別に青森県の1 黒毛和種牧場について,2003 〜 2009 年の繁殖管理データを同様に解析した.ホルスタイン種経産牛のAI において,一日平均気温が20℃以上で分娩率の有意な低下が観察された.しかし,同種未経産牛のAI,同種経産牛および未経産牛のET,黒毛和種牛経産牛および未経産牛のAI ではこの低下はみられなかった.これらのことから,泌乳牛のAI において暑熱ストレスによる受胎率低下が生じるのは,一日平均気温が20℃以上の環境であることが示された.また,分娩率低下と気温との関連性が明確ではない地域が見られたため,この結果を適用するには地域や農場毎の個別の条件に注意するべきであることが示唆された.</p>

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