毛髪の色素再沈着を伴った悪性黒色腫

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タイトル別名
  • Malignant Melanoma with Hair Repigmentation

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抄録

<p>症例:79 歳,男性</p><p>主訴:頭頂部の痂皮を付着する結節</p><p>現病歴:加齢に伴い毛髪は白毛になっていた。約 2 年前から右頭頂部の毛髪が茶褐色調に変化してきたが放置していた。2 カ月前から同部位に痂皮を付着する結節が生じ,徐々に増大傾向のため当科を受診した。</p><p>現症:頭頂部右寄りの部位に限局して,毛髪は茶褐色調を呈していた(図 1 a)。同部位には境界不明瞭な不整形の黒褐色斑があり,内部には 11×11 mm の表面に潰瘍を伴う黒色結節を認めた(図 1 b)。</p><p>病理組織学的所見:表皮から真皮深層にかけて好塩基性に染まる腫瘍胞巣が密に増殖していた(図 2 a)。腫瘍細胞は核の大小不同や核分裂像を伴っており,一部ではメラニン色素を含んでいた(図 2 b)。腫瘍近傍には,メラニン色素を含む毛包を認めた(図 2 c)。免疫組織化学染色では,腫瘍細胞は S-100,HMB-45(図 2 d),Melan-A のいずれも陽性であった。Tumor thickness は 5 mm であった。摘出した右耳後部のセンチネルリンパ節に転移は認めなかった。</p><p>画像検査所見:PET-CT で転移を疑う所見はなかった。</p><p>診断:毛髪の色素再沈着を伴った悪性黒色腫(pT4bN0M0,stage Ⅱc)</p><p>治療および経過:2 cm マージンをとり,骨膜上で切除した。断端陰性を確認後に,分層植皮術を行った。現在,術後 2 年以上経過しているが再発や転移を認めていない。</p>

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 81 (3), 163-164, 2019-06-01

    日本皮膚科学会西部支部

被引用文献 (1)*注記

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