Tool using, voluntary food sharing and behavior without being noticed by the other" in gibbons and their background
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- INOUE Yoichi
- RIKEN Brain Science Institute
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- KATSU Noriko
- Univ. Tokyo, Graduate School of Arts and Sciences Japan Society for the Promotion of Science
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- OKANOYA Kazuo
- RIKEN Brain Science Institute Univ. Tokyo, Graduate School of Arts and Sciences
Bibliographic Information
- Other Title
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- テナガザルの「道具使用、自発的な食物分配、相手に気づかれないように目的を達成する行動」とその背景
Description
<p>飼育下テナガザルにおける興味深い3つの行動を録画したので紹介する。これら3つの行動のうち道具使用については過去に数例報告があるが、他の報告はない。 道具使用は2012年4月、福知山市動物園で子どものテナガザル(Hylobates lar)がカップを拾い上げて水飲み場に持っていき、それを使用して水を飲んだというものである。なお、他の動物園のテナガザルに対しても同じようにケージの中にカップを入れて様子を見たが、道具使用は観察されなかった。 自発的な食物分配は2011年5月、マレーシア・サバ州コタキナバルのロッカウィ動物園で、若者のテナガザル(Hylobates muelleri)が大人のテナガザルにニンジンのかけらを自発的に手渡したというものである。 相手に気づかれないように目的を達成する行動と考えられる事例は 2000年12月に福知山市動物園で観察された。子どもテナガザルの姉妹2個体(Hylobates lar)にバナナ片を与えた時、妹が、先に小屋の中に落としたバナナ片をまっすぐ取りには行かず、姉に気づかれないようにバナナ片の方は見ないでゆっくりと後ずさりしてバナナを取って食べたというものである。この時、移動の間妹は姉を注視し、抑制的に行動した。 これらの行動が何故観察されたのか、発表者らはその成育歴に注目した。福知山市動物園の個体はいずれも1歳から人間の子どもや大人と遊びなどを通じて触れあう機会が多くあった。ロッカウィ動物園の個体は野生由来ではなくもともとペットとして飼われていたもので、子ども期にはおそらく家族同様に育てられていたものと思われる。このような幼児期に人間と密度濃く触れ合った環境がテナガザルに潜在的に存在する手の操作性や社会性の能力を発達させたのではないかと考えられる。</p>
Journal
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- Primate Research Supplement
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Primate Research Supplement 36 (0), 24-25, 2020
Primate Society of Japan
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390006308199398272
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- NII Article ID
- 130008029050
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed