グリムのメルヒェン『唄う骨』(KHM28)の異質性について : もうひとつのモティーフ
書誌事項
- タイトル別名
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- Die Besonderheit des Grimmschen Märchens Der singende knochen (KHM28) : Zur Funktion des Wildschwein-Motivs
- グリム ノ メルヒェン ウタウ ホネ KHM28 ノ イシツセイ ニ ツイテ モウ ヒトツ ノ モティーフ
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説明
『唄う骨』KHM 28 Der singende Knochenは,殺された者の骨によって真実が明らかとなるお話で,世界中に分布していることが確認されている.これをグリムのメルヒェンのひとつとして意識的に読んでいくと,この話の結末から,読者は安堵感を得ることができるが,どこか切なさを振り切ることができない,という点で,他の多くのグリムのメルヒェンと,読後感が異なることが指摘できる.国の平安のためにイノシシ狩りを求める王,これに名のり出る二人の兄弟,兄弟の確執,真実の証明と遺骨の安置,振り返られることの発端,これらの連鎖する個々のモティーフは,幸せな結末で読者を楽しませるのではなく,どのような悪事も,明るみにでずにはいないことを,読者に教えるものである.獰猛な獣に立ち向かう弟と,それに対置される,ずる賢く生きる兄は,最終的にあるべき姿をとる.この話において,異質な読後感を生み出す源は,グリムのメルヒェンという枠に制限されない,昔語りにある.
収録刊行物
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- 名古屋大学人文科学研究
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名古屋大学人文科学研究 39 1-14, 2010-03
名古屋大学大学院文学研究科
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390009224656033024
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- NII論文ID
- 120005668912
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- NII書誌ID
- AN10076185
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- HANDLE
- 2237/23140
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- NDL書誌ID
- 10661093
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- ISSN
- 09109803
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- IRDB
- NDLサーチ
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用可