人間関係から見た安楽死是非の再考

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書誌事項

タイトル別名
  • Rethinking the Problems in Euthanasia from Human Relations Viewpoint

抄録

安楽死を巡る医療倫理における近年の議論では、次のような二つの主要な特徴を指摘できる。第一は、致死薬投与による積極的安楽死と延命治療停止等による消極的安楽死との旧来の区別立てを否定する、というものである。第二は、安楽死に関して人間関係という側面からの検討がなされていることである。すなわち、安楽死政策が医療者と患者及び家族との相互的な関係性に対して及ぼす影響、そして、医療者と患者間の信頼関係構築という観点からの考察である。本稿では、とくに二つ目の特徴に注目したい。まず、第一の特徴と第二の特徴を示している日本の代表的論者による論述を検討する。そして、そこにある共通点と相違点、さらには注目すべき指摘を提示する。次に、終末期医療のあり方を人間関係という観点からの考察を深めることで、いくつかの有意義な視点を提示したい。この目的のために、本稿では、終末期医療を巡るドイツ語圏における論考を分析する。なぜなら、ドイツは近年、終末期医療の決定に関して、可能な限り患者本人の意思を反映させようとすると同時に、医療者と患者及び家族の相互的な人間関係のあり方を模索し続けてきたからである。そのためドイツでは、積極的臨死介助(積極的安楽死)容認が医者・患者間の人間関係に影響を及ぼすという観点からの検討だけでなく、医師・患者間の信頼関係が育まれる場面についての掘り下げられた考察がなされている。

収録刊行物

  • 応用倫理

    応用倫理 6 3-14, 2012-10-01

    北海道大学大学院文学研究科応用倫理研究教育センター

キーワード

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390009224794749696
  • NII論文ID
    120005725152
  • DOI
    10.14943/ouyourin.6.3
  • HANDLE
    2115/60899
  • ISSN
    18830110
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • IRDB
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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