新町遺跡と大友遺跡 : 筋骨格ストレスマーカーから明らかにする弥生時代開始期の人々の身体活動

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タイトル別名
  • Shinmachi site and Ootomo site: Subsistence activities of people during the beginning of the Yayoi period revealed using musculoskeletal stress markers.

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本研究では支石墓を主な墓制とする福岡県糸島市新町遺跡と佐賀県唐津市大友遺跡から出土した古人骨の筋骨格ストレスマーカー(MSMs)を検討した.検討対象部位は上肢下肢の15部位,MSMs の評価は,Hawkey and Merbs(1995)の基準に従っている.カテゴリカル主成分分析を用いてMSMs パターンを分析した結果,大友遺跡出土人骨は,MSMs パターンとしては縄文各集団にやや似ていること,一方で新町遺跡出土人骨のMSMs パターンは弥生時代の各集団,特に響灘沿岸や三国丘陵の人々と類似することが明らかとなった.この結果から,四肢骨の形状という観点からは上肢が下肢よりも相対的に太いという点で共通する傾向を持つといわれていた大友遺跡と新町遺跡だが,MSMs を検討すると若干傾向が異なることが明らかとなった.この差の要因として,新町遺跡の人々は水稲農耕に携わりつつも狩猟や漁撈のような多様な生業活動を行っていた一方で,大友遺跡の人々は,漁撈活動への比重がより高く,水稲農耕のような他生業の内部化を進行(安室1992, 2001)させるような活動は主流ではなかった可能性が考えられ,弥生時代開始期における両者の生業活動の内容に違いがあった可能性が示唆される.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390022457807322880
  • NII書誌ID
    AA11909273
  • DOI
    10.15017/7343681
  • HANDLE
    2324/7343681
  • ISSN
    13483080
  • 本文言語コード
    ja
  • 資料種別
    departmental bulletin paper
  • データソース種別
    • JaLC
    • IRDB
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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