純チタン表面に成膜したDLCに対する掻爬

書誌事項

タイトル別名
  • Curettage of DLC-coated pure titanium

説明

近年,歯科用インプラントの長期使用に伴う,インプラント周囲炎発症が大きな問題となっている.インプラント周囲炎は,歯槽骨とインプラントのオッセオインテグレ-ション(Osseointegration)に,大きな影響を及ぼし,歯槽骨の吸収の症状が発現する炎症性疾患である.インプラント周囲炎の治療法のひとつに,スケ-リングと呼ばれる方法がある.この方法は,純チタン製のアバットメント表面に対して掻爬を行う方法であり,現在,スケ-ラ-として,切れ刃を有する純チタン製またはプラスチックス製の切れ刃型スケ-ラ-が用いられている.この理由として,純チタン製のアバットメント表面は軟らかいため,硬い切れ刃を有する,一般的な歯周治療に使用されるステンレス製の切れ刃型スケ-ラ-により掻爬を行うと,アバットメント表面が損傷するためである.よって,天然歯と異なり,純チタン製のアバットメント表面に対しては,ステンレス製の切れ刃型スケ-ラ-が使用できないのが大きな問題となっている.これまで,歯科用インプラントにおいては,スクリュ-部の摩耗防止を目的として,DLC膜が使用されてきたが,我々は,積極的なプラ-ク付着抑制とメンテナンスの容易化を目的として,インプラントのアバットメントにDLC膜を成膜することを提案した.本研究においては,DLC膜を,純チタンの試験片表面に成膜し,ステンレス製の切れ刃型スケ-ラ-により掻爬を行った.純チタンにDLC膜を成膜した場合,純チタン表面に掻爬痕は見られなかった.また,算術平均粗さRaの値の変化は大変小さかった.これより,純チタン表面に,DLC膜を成膜すると,ステンレス製の切れ刃型スケ-ラ-による掻爬に対する耐損耗性が大きく向上することが明らかになった.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282679310196352
  • NII論文ID
    130005284466
  • DOI
    10.11420/jsat.60.40
  • ISSN
    18807534
    09142703
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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