森林情報を用いた木質ペレット販売原価の試算

  • 高梨 啓和
    鹿児島大学大学院理工学研究科化学生命・化学工学専攻
  • 大林 慶一
    鹿児島大学大学院理工学研究科化学生命・化学工学専攻
  • 寺岡 行雄
    鹿児島大学農学部生物環境学科
  • 甲斐 敬美
    鹿児島大学大学院理工学研究科化学生命・化学工学専攻
  • 近藤 弘章
    いであ株式会社
  • 中島 常憲
    鹿児島大学大学院理工学研究科化学生命・化学工学専攻
  • 大木 章
    鹿児島大学大学院理工学研究科化学生命・化学工学専攻

書誌事項

タイトル別名
  • Cost and Energy Consumption of Wood Pellet Production Based on Forest Management Information
  • シンリン ジョウホウ オ モチイタ モクシツ ペレット ハンバイ ゲンカ ノ シサン

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説明

本論文では,燃料としての需要が見込まれる木質ペレット(ペレット)の販売原価等をシミュレーションによって求めた。シミュレーションの前提として,ペレットの原料は間伐材とし,森林から伐採した間伐材は,建材等の材として利用せずに,全量をペレットに加工して直接燃焼機器の燃料として利用することとした。これにより,木材需要規模の制約や外材の価格変動などの外的因子によって原材料価格が変動することを回避可能となり,木質バイオマスの大規模活用の可能性を検討することができる。シミュレーションは,屋久島(鹿児島県熊毛郡屋久島町)を対象として,14種類のシナリオに基づいて行われた。林業生産プロセスからペレット利用プロセスまでの一連のプロセスについて,森林簿と地域のエネルギー需要および道路網の地理情報システム(GIS)データに基づいて分析した。その結果,ペレットの販売原価はペレット製造規模の影響を大きく受け,現在の国内の一般的な生産規模と考えられる2,000 t/y程度以下では40円/kg以上となった。しかし,大規模生産により販売原価は低下し,ペレットの製造規模が26,500 t/yのときに25.8円/kgとなった。2009年12月または2010年2月における化石燃料の全国平均価格とこのペレット販売原価を比較すると,ペレットを利用することによる暖房機器等の機器効率の低下を考慮しても,灯油,LPGに対してペレットが価格競争力を有していた。ペレットの低位発熱量に対するペレットの製造・配送時に消費されるエネルギー量の比は,ペレットの生産規模とともに上昇し,ペレットの製造規模が82,700 t/yのときに0.0276となった。

収録刊行物

  • 環境科学会誌

    環境科学会誌 24 (3), 189-197, 2011

    社団法人 環境科学会

参考文献 (11)*注記

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