自閉スペクトラム症児者の特性と歯科受診時の適応状態および唾液α-アミラーゼ活性値との関連について

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  • A Study on the Relationship between Characteristics, Dental Treatment Adaptability, and Stress by Dental Visit Using Salivary Amylase Activity in Patients with Autism Spectrum Disorder

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抄録

<p>本研究は,自閉スペクトラム症(ASD)児者の特性と歯科受診時の適応性およびストレスとの関連を明らかにすることを目的に行った.</p><p>対象は,本学大学病院小児歯科および高次歯科診療部障害者歯科を受診中のASD児者37名とした.対象者を歯科受診適応性が良好な者のうち唾液α-アミラーゼ活性値が45KU/l以下の群(AL群),唾液α-アミラーゼ活性値が46KU/l以上の群(AH群),適応が困難な群(困難群)に分けて,ASD児者の特性と歯科受診適応性や唾液α-アミラーゼ活性値との関係について検討し,以下の結果を得た.</p><p>年齢については,困難群の年齢が低かった.コミュニケーション能力に関する項目については,AH群と困難群に言葉による感情表現が難しい傾向を示した.感覚過敏性に関する項目については,困難群は洗顔や歯磨き,味覚に対する過敏性が高く,過度にまぶしがる傾向を認めた.唾液α-アミラーゼ活性値については,AH群と困難群にストレスが高い傾向を示した.</p><p>以上の結果から,歯科受診時にストレスの高いASD児者は言葉による感情表現がうまくできず,ストレスをコントロールすることが苦手であることが考えられた.また,歯科受診適応性が困難なASD児者は感覚過敏性が強く,そのために強いストレスを受けやすいことが適応困難の要因となっていることが示唆された.</p>

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