音声言語行動形成の試みについて : 交信行動の確立と多感覚の利用

書誌事項

タイトル別名
  • LEARNING PROCESS OF SPEECH BEHAVIOR
  • オンセイ ゲンゴ コウドウ ケイセイ ノ ココロミ ニ ツイテ コウシン コウ

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説明

本研究は、音声言語行動の成立に必要な基礎的条件究明の試みである。事例K.Y.では、人と人との交信関係の成立、事例K.M.では、音声言語行動の成立に必要な基礎的条件(認知過程)を音声言語行動形成過程から分析した。その結果交信関係の成立には次の4つの条件が考えられた。(1)実験者と被験児(以下(T)、(S)と記す)の間に共有できる場。(認知状況も含む)(2)(S) の自発行動が生起する場。(3)(S) の自発行動をその子の発信行動、受信行動と認める(T)の存在。(4) 発信、受信行動が持続的に生起する場。このような交信関係が成立し、なお音声言語行動の基礎的認知過程を形成する対応行動の分化は、次のような感覚・運動回路系を通して進められた。(1) 信号を視覚系で受容し、上肢系で対応する回路で成立する対応行動。(以下視覚→ 上肢、身体回路系による対応の分化と記す)(2) 視覚、聴覚→ 上肢、身体、構音器官系による対応(3) 視覚、聴覚→ 構音器官回路系による対応(4) 聴覚→ 構音器官回路系による対応。以上のプロセスは、音声言語行動の成立に必要な対応行動の分化を感覚・運動回路からみたものであり、同時に、指導技法はその認知過程を促進するものであると考えられた。

収録刊行物

  • 特殊教育学研究

    特殊教育学研究 17 (1), 35-44, 1979

    一般社団法人 日本特殊教育学会

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