世界各地産の栽培オオムギ品種における雲形病抵抗性の探索

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タイトル別名
  • Survey of Resistance to Scald in World Collections of Cultivated Barley.
  • 世界各地産の栽培オオムギ品種における雲形病抵抗性の探索〔英文〕
  • セカイ カクチサン ノ サイバイ オオムギ ヒンシュ ニ オケル クモガタビョ

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抄録

最近,北陸地方では水田転換作物として栽培面積の増加したオオムギで,雲形病が多発している.これは,当地方のほぼ全域で栽培されている品種ミノリムギが,本病に極弱であることによる.従って,本病に抵抗性の品種の育成・導入が強く望まれる.本研究では,抵抗性品種育成の基礎知見を得る目的で,世界各地産の栽培オオムギ1315品種における抵抗性の差異を調べた.1989, 1990年の2カ年に行った圃場試験では,試験区に点播された供試品種を羅病性のミノリムギで囲み,これを感染源とした.また,1990年にはミノリムギの病斑より単胞子分雜した菌を,1~2葉期の幼苗に噴霧接種し,その反応を調査した.両方試験とも,感染型を高度抵抗性(R),中度抵抗性(M)および羅病性(S)に3群別した.2カ年の圃場試験の結果によれば,両年ともR反応を示した品種は,わずかに79(6.0%)であり,大部分の品種(892品種)は,2カ年とも羅病性を示した.これらの他に, M反応や年次によって異なる反応を示す品種も認められた(Table 1).抵抗性の程度を品種の産地別にみると, R反応を示した品種の大部分は,エチオピアおよびトルコ産であった.とくに,エチオピア産の品種は, M反応の頻度も高く(36.8%),羅病性品種が42.9%と他に比べてかなり少なかった.日本を含む束アジア地域の品種では, 2カ年を通じてR反応を示たのは,わずかに 1品種であり,ほとんどすべての品種が羅病性であった(Table 2).幼苗試験では,48品種がR反応を示したが,この場合もエチオピア,トルコ産の品種が大部分で,東アジア由来の品種には全く見出せなかった.圃場試験の結果と比べると, M反応の品種は44(3.4%)と少なく,逆にS反応の品種が 1223 (93,0%)と多かった(Table 3).圃場および幼苗の両試験で,ともにR反応を示した品種は17で,その産地別内訳は,エチオピア9,トルコ6,北アフリカおよび西南アジア 1つであった(Table 4, able 5).これら 17品種は,雲形病抵抗性の遺伝資源として有用と思われる.現在,北陸各地域の羅病個体から採取した菌の接種試験により,これら17品種の抵抗性の有効性程度を確認している.

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