Upside down stomachを呈した食道裂孔ヘルニアに4多発胃癌を合併した1例

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  • A CASE OF QUADRUPLE GASTRIC CANCER WITHIN UPSIDE DOWN STOMACH DUE TO ESOPHAGEAL HIATAL HERNIA

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抄録

食道裂孔ヘルニアは比較的頻度の高い疾患だが,全胃が脱出し,軸捻転を伴うupsidedown stomachは稀で,さらに胃癌合併例は非常に稀である.症例は85歳の女性.労作時呼吸困難と動悸にて入院.胸部単純写真およびCTで左胸部への消化管の逸脱を認めた.上部消化管造影で左横隔膜上に全胃が脱出したいわゆるupside down stomach像を認めた.上部消化管内視鏡で胃体部に2型の胃癌を,前庭部に山田III型のポリープを2個認めた.以上より胃癌合併食道裂孔ヘルニアと診断し,幽門側胃切除術と食道裂孔縫縮術を施行した.切除標本で前庭部の病変はいずれも高分化型腺癌と診断,この他に胃体下部前壁に術前診断できなかったIIa型の高分化型腺癌を認め4多発癌であった.<BR>Upside down stomachを呈する食道裂孔ヘルニアではその解剖学的特徴から十分な術前精査が困難で,慎重な術前診断が必要と思われた.

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