自然免疫による核酸認識

  • 審良 静男
    Laboratory of Host Defense, WPI Immunology Frontier Research Center(IFReC), Osaka University, Department of Host Defense, Research Institute for Microbial Diseases
  • 斉藤 達哉
    Laboratory of Host Defense, WPI Immunology Frontier Research Center(IFReC), Osaka University, Department of Host Defense, Research Institute for Microbial Diseases
  • 河合 太郎
    Laboratory of Host Defense, WPI Immunology Frontier Research Center(IFReC), Osaka University, Department of Host Defense, Research Institute for Microbial Diseases

書誌事項

タイトル別名
  • Nucleic acids recognition by innate immunity
  • シゼン メンエキ ニ ヨル カクサン ニンシキ

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説明

ウイルスや細菌のもつ核酸(DNAとRNA)は自然免疫系により認識され,I型インターフェロンや炎症性サイトカインが産生され,感染病原体に対する生体防御応答が誘導される.我々は発現スクリーニングにより,二重鎖DNAに対する自然免疫応答を制御する細胞内分子としてTRIM56を同定した.TRIM56はユビキチンリガーゼとして機能し,STINGと呼ばれるアダプター分子のK63型ユビキチン化を促進した.この修飾により,TBK1キナーゼがリクルートされ最終的にI型インターフェロンが誘導された.以上のことから,DNAに対する自然免疫応答において,TRIM56によるユビキチン化を軸とした新たなシグナル伝達経路の存在が明らかとなった.一方,Toll-like receptor (TLR) 7とTLR9は,ウイルスの核酸を認識し,プラズマ細胞様樹状細胞からI型インターフェロン産生をさせる.我々は,抗ウイルス因子として報告されていたViperinが,プラズマ細胞様樹状細胞においてTLR7/9を介したI型インターフェロン産生に重要な役割を果たしていることを見出した.Viperinは,プラズマ細胞様樹状細胞においてTLR7/9の刺激より転写因子Interferon regulatory factor (IRF) 7依存的に強く誘導され,脂肪滴に局在している.Viperinは,プラズマ細胞様樹状細胞においてTLR7/9の下流で働きIRF7を活性化するシグナル伝達因子として知られているTRAF6とIRAK1に結合し,これらの因子を脂肪滴上へとリクルートする.その結果,IRAK1のK63結合型ユビキチン化が効率的に誘導され,IRAK1によるIRF7の活性化を介したI型インターフェロンの産生が促進される.Viperinが,直接的なウイルス複製阻害に加えて,TLR7/9を介したI型インターフェロン産生の促進により抗ウイルス応答に関わっていることが判明した.

収録刊行物

  • ウイルス

    ウイルス 62 (1), 39-46, 2012

    日本ウイルス学会

参考文献 (28)*注記

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