Vinayapitakaにおけるukkhepaniyakammaに関する考察

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タイトル別名
  • Rethinking ukkhepaniyakamma in the Vinayapitaka:
  • Rethinking ukkhepaniyakamma in the Vinayapitaka : In Relation to the Issue of the Rejection and Acceptance of Unorthodox Views in Buddhist Monasticism
  • ――仏教教団における異見の扱い――
  • In Relation to the Issue of the Rejection and Acceptance of Unorthodox Views in Buddhist Monasticism

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抄録

部派仏教教団において異見はどの様な扱いを受けるのか,本論文はこの問題について検討した.この問題については,佐々木閑氏がcakrabheda(破法輪)とkarmabheda(破羯磨)という律専門用語を分析し,李慈郎氏がnanasamvasakaという律専門用語を分析し,何れも異説共存の可能性を提示している.本論文では,これを踏まえ,ukkhepaniyakamma(挙罪羯磨)という別の律専門用語に注目して,部派仏教教団における異見の位置付けについて再検討した.具体的には,以下の様な作業を行なった.先ず,ukkhepaniyakammaの意味を検討し,それが比丘・比丘尼の共同行為から執行対象者を「排除するための法律的行為」であることを示した.次に,ukkhepaniyakammaの目的について検討し,それが律規定に関する異見及び教説に関する特定の異見を取り締まる制度であることを示した.続いて,ukkhepaniyakammaの執行判断について検討し,それが比丘サンガ又は比丘尼サンガの総意に基づき執行されるもので,一人でも執行対象者を支持するならば,執行できないことを示した.最後に,ukkhepaniyakammaを科された比丘への追従行為に関する律規定を検討し,比丘尼はukkhepaniyakammaを科された比丘に追従することが禁じられるが,比丘はそれが許容され,更には,ukkhepaniyakammaの執行主体とは別の比丘サンガを新たに組織することが許されることを示した.そして,これらを考え合わせ,律規定に関する異見及び教理に関するある種の異見が必ずしもサンガから排除されず,たとい排除されたとしても,比丘達により合法的に受容される余地のあることを指摘した.

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