年齢別肺機能改善率からみた術前呼吸リハビリテーションの効果

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【目的】加齢に伴い肺機能は低下し,更に活動量減少によるdeconditioningが高齢ほど高率に合併・重症化する事が予想されるが,術前呼吸リハビリテーション(以下,術前呼吸リハ)による肺機能改善率も加齢に伴い低下するか明らかでない.そこで今回,当院の術前呼吸リハが年齢別に与える効果の差について検討した.<BR>【方法】平成19年4月~平成23年3月までの4年間に術前呼吸リハを施行した非小細胞肺癌患者62名を対象に,前期高齢者群35名(年齢70.3±3.6歳,男性22名・女性13名,%FEV1.0<30%・6名,30%≦%FEV1.0<50%・7名,50%≦%FEV1.0<80%・22名,PE合併18名),後期高齢者群27名(年齢77.5±2.2歳,男性17名・女性10名,%FEV1.0<30%・5名,30%≦%FEV1.0<50%・5名,50%≦%FEV1.0<80%・17名,PE合併9名)の2群に分類し後ろ向き調査研究を実施.術前呼吸リハは,四肢筋力強化・ACBT指導・呼吸訓練・ThresholdPEPによる呼気筋強化・coach2による吸気筋強化を主軸とし,調査項目は,身長,体重,BMI,男女比,訓練回数,PE合併率,肺癌stage,重症度別肺機能分類,各群の訓練回数と改善率の相関関係,訓練前後の改善率,訓練後2群間の術前呼吸リハ介入による改善率とした.なお,呼吸状態の改善度の指標には%FEV1.0,%VC, %FVCを用い,統計的手法にSpearman's correlation,Mann-Whitney U-testを使用p<0.05を有意水準とした.<BR>【結果】前期高齢者群(%FEV1.0:rs=0.816,%VC:rs=0.729,%FVC:rs=0.572),後期高齢者群(%FEV1.0: rs=0.417,%VC: rs=0.416,%FVC:rs=0.707)であり両群で訓練回数と改善率に有意な正の相関を得た(p<0.05).訓練前後の改善率も前検査項目において両群で有意な改善を認めた(p<0.05)が,訓練後2群間の術前呼吸リハ介入による改善率に有意差は認めなかった.<BR>【考察】呼吸リハビリテーションは,deconditioningを改善し健常領域の身体機能再獲得が重要な役割の一つである.今回両群共に訓練回数に対し肺機能改善効果が認められ,deconditioningの進行が予想される後期高齢者群は前期高齢者群と比較し術前呼吸リハ介入による改善率に差はなく,同等の肺機能改善が期待される事が示唆された.

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  • CRID
    1390282680496035968
  • NII Article ID
    130006945822
  • DOI
    10.14879/nnigss.60.0.147.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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